世界中のソーシャルメディアは、魅力的で感情を揺さぶる動物たちの物語であふれています。例えば、可愛くて愛らしい猫や機敏なリスの映像だけでなく、カリブ海のベリーズで撮影されたライオンフィッシュの激しいスピアフィッシングの様子も多くシェアされています。こうした動画や写真は、鮮やかな色彩や臨場感あふれる映像とともに、私たちの心に深く響き、ついつい目が離せなくなります。実際に、これらの動画は何百万もの再生回数を記録し、瞬く間に拡散しています。一方で、地域の絶滅危惧種の鳥を餌にしている迷い猫の話や、野生動物と共存する楽しさについての投稿も、多くの共感を呼び、大きな反響を得ています。このように、私たちは自然と愛らしい動物に反応しやすい本能が備わっているため、こうしたほっこりする物語が瞬時にバイラル化し、多くの人の心を掴むのです。ところが、この表面的な盛り上がりの裏には、もっと深刻な現実も隠れています。クズや日本の葛などの侵略的な植物は、地味で目立たず、静かに生態系を侵食しています。これらは、多くの人にはほとんど知られていません。なぜなら、これらの植物には動物のようなかわいらしさや感情を喚起する要素がなく、視覚的にもインパクトが弱いためです。それに、植物は見た目も地味で、声高に語られることも少なく、その存在を認識しづらいのです。その結果、魅力的な動物には膨大な関心が集中する一方で、実はより根本的な被害をもたらすこうした植物たちが見過ごされ、危険性が十分に理解されないまま放置されているのです。こうした偏りは、環境問題の認知や政策の優先順位すら歪めてしまいます。特に、地味で見えにくい侵略種は、その恐るべき実態がなかなか伝わらず、多くの被害を引き起こし続けています。
それでもなお、侵略的植物は私たちの生態系や経済にとって極めて深刻な脅威であるにもかかわらず、その重要性が十分に伝わっていません。たとえば、「南部一帯を覆いつくす蔓」と称されるクズは、広範囲にわたって土壌を広がり、ネイティブの木々や低木を締めつけてしまいます。このことは、都心の公園や田畑だけでなく、山地や自然保護区まで浸食しています。それにも関わらず、大きく報道されることはほとんどなく、人々の意識も薄いままです。同じく、巨大的な猪毛槍は、その毒性の強い樹液や長く広がる茎で警戒を促しますが、その外見は平凡で、注目されにくいのが現状です。なぜ、この差が生まれるのか。理由の一つは、これらの植物には動物のような「かわいらしさ」や「親しみやすさ」がなく、感情を動かされません。もう一つは、見えない場所や目に留まりにくい場所で静かに広がるためです。こうした蔓延を放置すれば、やがて生態系の崩壊や経済的な損失が拡大し、私たちの生活や未来は危険にさらされるでしょう。だからこそ、私たちにはこうした「見えない脅威」に目を向け、積極的に注意を払うことが求められるのです。つまり、見えにくい敵にこそ、最も早く果敢に対処しなければならないのです。
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