イギリスで、重要な機関への信頼感が大きく低下しています。特に世代Z(18~25歳)は警察に対して非常に低い信頼を抱いています。ロンドンのキングスカレッジ政策研究所の調査によれば、警察への公共の信頼は1981年の86%から2022年には67%に落ち込んでしまったことがわかります。この変化には世代間で大きな差があり、世代Zは年配世代と比べて27ポイントも信頼度が低い状況です。この信頼の危機は警察だけでなく、政治機関にも影響を及ぼしており、1990年の46%から2022年に22%へと議会の信頼が下がっていることが示しています。これらの数字は、イギリスがさまざまな機関に対する信頼が非常に低い国の一つであることを物語っており、統治や公共の安全、社会のつながりに対する懸念が高まっています。
世代Zの警察への不信感にはいくつかの要因が関連しています。特にマイノリティやLGBTQ+の若者たちは、自分たちが疎外されたり、不当な扱いを受けたりしていると感じることが多いです。また、抗議活動における警察の過度な対応など、大きく報じられた警察の不正行為も信頼を損なう理由となっています。特に2021年のサラ・エヴァラードの追悼集会における警察の扱いは、若者たちに強い印象を与え、大きな議論を呼びました。加えて、SNSの影響も見逃せません。世代Zは警察に関する否定的な情報を常に目にしており、そのため彼らの考え方が影響を受けているのです。スウェーデンなどの国では世代間の信頼感の差があまり見られないため、イギリス特有の要因がこの問題を引き起こしていると考えられます。
法執行機関と世代Zとの間に生じた信頼のギャップを解消するためには、地域社会の責任や透明性を重視した取り組みが不可欠です。警察財団の調査によると、地域住民に配慮したポリシングが公共の信頼を高めることができるとされています。過去10年間の警察予算の削減により、多くの地域で警察の存在が弱まり、信頼関係を築くことが難しくなっています。法執行機関は、若者との交流を深めたり、地域の活動に参加したりすることで、オープンな対話を促進する必要があります。そして、透明性をもって行動することが重要です。信頼を取り戻すためには、より誰もがアクセスでき、迅速に対応でき、地域重視の警察活動を目指さなければなりません。意味のあるつながりを再構築し、対話の文化を育むことで、警察は若い世代との信頼関係を再び築くことができるでしょう。
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