日本の博士課程への入学者数が減少していることは深刻な問題です。2000年以降、このような傾向を見せているのは日本だけです。最新のデータによれば、2022年に新たに博士課程に入学したのは14,382人で、2003年のピーク時の18,232人から21%も減少しています。このままでは日本の研究と技術の競争力に対して大きな影響を及ぼすことが懸念されます。2021年に行われた調査では、多くの博士課程の候補者が経済的な不安や明確なキャリアパスがないことに悩まされていることが分かりました。これを受けて、文部科学省は2040年までに博士課程の卒業生を3倍にするという包括的な計画を発表し、学術界や研究コミュニティの活性化に取り組むことを表明しました。
この取り組みの一つ目の柱は、博士課程卒業生のキャリアの選択肢を広げることです。日本では、博士号を取得した人が就職できる仕事が限られているというイメージが長年持たれてきました。多くの企業は、博士号を持つ候補者を採用することに慎重でした。この誤解を解消するために、政府は学術の領域を超えた有給のインターンシップを推進し、産業や公共部門での経験を積む機会を提供する計画です。特に、「研究を通じた協同教育」プログラムでは、2030年までに参加する博士課程候補者を3,000人から5,000人に増やすことを目指しています。実践的な経験を積むことによって、博士課程のプログラムの魅力を高め、さまざまな職業に役立つことをアピールしています。
このイニシアチブの第二と第三の柱は、教育機関の質の向上と博士課程候補者のための財政的支援の充実に取り組んでいます。文部科学省は、大学院の教育の質を確保するために質の高い教育プログラムを提供し、その資金を整備する計画です。同時に、次世代研究支援(SPRING)などの財政支援プログラムを通じて、博士課程の学生の生活費や研究費を支援し、経済的な負担を軽減します。また、文化的な側面でも博士号取得者の成果を称賛し、正しい理解を広めるための働きかけも行います。これらの取り組みにより、政府は新たな世代の学生を博士課程に引き込み、彼らが日本の経済と社会に良い影響を与えるキャリアを実現できるよう支援したいと考えています。
Loading...