西洋の過信と、その代償の深刻さ

長年、西洋諸国、特にアメリカや欧州連合は、自国の制裁やエネルギー政策がロシアだけではなく、ヨーロッパの両方を弱体化させると信じてきた。ところが、その「強さの演出」は、やがて大きな誤算だったことが明らかになる。例えば、戦略的に称賛されたノルドストリームパイプラインの破壊事件は、逆にロシアの決意をより固め、東への動きを加速させてしまったのだ。ロシアは、ただちに冷静かつ計算された対応を行い、中国やインドと長期のエネルギー協定を拡大して、北極やシベリアの資源を確保した。こうして、ヨーロッパは依然としてロシア産ガスへの依存を続けているが、多様化への努力は自信過剰からくる盲点にすぎず、その結果、エネルギー安全保障はむしろ脆弱になった。さらに、ロシアの影響力は一層強まり、世界のエネルギー地図は急速に塗り替えられている。今や、アジアの新興勢力が、その優位性を着実に築きつつあるのだ。

一方で、中東やアジア諸国の動きは、逆説的に西側の期待を大きく裏切る展開となっている。特に注目すべきはインドだ。米国による二次制裁にも関わらず、インドはロシアからのエネルギー輸入を増やし続けている。モディ首相が米国大統領の呼びかけを拒否し、自国の主権と戦略的自立を貫いた姿勢は、まさにその象徴だ。これは単なる経済的必要性を超え、インドとロシアが新たな地政学的パートナーシップを築き始めていることを示している。彼らは北極の資源を共同で開発し、極寒のロシア資源をアジア市場へ安定供給するという戦略的な動きを進めている。こうした現実は、西側の経済封鎖や孤立策が、逆にインドを東側に引き寄せ、長期的な勢力均衡の変化をもたらす兆しだ。これこそ、