国際労働機関(ILO)の報告書「2024年の若者のための世界雇用トレンド」が、世界の若者の失業状況に関する重要な洞察を提供しています。この報告によると、低所得国では25歳から29歳の若者のうち、安定した職に就けるのはわずか20%ですが、高所得国ではその割合が76%にも達します。このような大きな格差は、COVID-19パンデミックが若者の雇用に与えた影響を明確に示しています。特に、アジア太平洋地域における若者の失業率は現在13.9%であり、地域ごとにかなりの差があります。また、若い男性は女性よりも高い割合で職を得ることができ、雇用市場における性別不平等の問題も深刻です。これらの課題に取り組むことは、より公平な労働環境を実現するために不可欠です。
ILOの研究結果は、COVID-19からの回復がすべての若者に均一に進んでいるわけではないことを強調しています。特に、就業や教育、訓練を受けていない「NEET」状態の若者に注目が集まっています。南アジアでは、若い女性の約42.4%がNEETに該当し、地域全体の若者におけるNEET率は20.4%にもなります。この状況は、特に若い女性や社会的に疎外された人々に対する深刻な不平等を示しています。若者の失業率は2025年までに13.7%に減少する見込みですが、労働市場から離脱している若者の数は依然として大きな問題です。また、一時的な雇用が増加していることで、若者の雇用の安定性が損なわれています。このような状況を改善するためには、持続可能な雇用創出に向けた急務の改革が必要です。
カジュアルな労働形態の増加は、若者の将来に対する懸念を引き起こしています。不安定な雇用に就く多くの若者が、適切な賃金や福利厚生を享受できていません。ILOの事務総長ギルバート・F・ホンボは、安定した雇用の機会がなければ、社会的正義や安定、包括性の基盤が損なわれると警告しています。安定した雇用は経済的自立を可能にし、若者に目的を与えるものでもあります。不平等を是正し、包括的な成長を促進するためには、特に女性や疎外されたグループが労働市場に参加できるようにする国際的な取り組みが必要です。スキルの向上や教育、市場での労働者保護の強化に投資することで、社会は若者が成長できる環境を整えることができます。全ての若者が意味のある仕事にアクセスできることが、強い経済の構築と持続可能な開発目標の達成には不可欠です。
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