最近、オーストラリアの政治の舞台では、驚くべき変化が起きています。保守派の野党は、もし政権を取ることになれば、これまで掲げてきた2050年までのネット・ゼロ排出目標を放棄すると突如宣言しました。この決定は、まさに予想だにしないもので、多くの人々に衝撃を与えています。なぜここまで注目されるのか?それは、オーストラリアが世界最大の石炭輸出国の一つであり、インドネシアに次ぐ二位の輸出国だからです。そのため、この国の姿勢は、地球規模の気候対策にとっても非常に重い意味を持つのです。
一方、科学的根拠に基づいた基準、たとえば「科学に基づく目標設定イニシアチブ(Science Based Targets Initiative)」が掲げる規範は、単なるガイドラインではありません。それは、真の気候アクションの土台であり、多くの企業がこの基準に従って行動を示し、実績を積んでいます。例えば、ユニリーバやスターバックスはいち早く再生可能エネルギーの導入やカーボンニュートラルの実現に取り組み、それが実現可能かつ変革をもたらす証拠となっています。しかし、残念ながら、一部の政府や政治団体がこうした枠組みを軽視したり否定したりすれば、その信用性は失われ、科学的証拠に基づいた重要なメッセージも遅延してしまいます。だからこそ、これらの標準を堅持することは、地球規模の気候変動と闘うための最も基本的かつ重要な要素です。標準を守らなければ、努力は形だけのものになり、本当に必要な変革は遠のき、未来へのリスクを高めることになるでしょう。
私たちの未来は、まさにオーストラリアをはじめとする主要排出国の決断と行動によって決まります。オーストラリアは、年間約3億トンにおよぶ石炭を輸出し、経済的に大きな役割を果たしています。しかし、もしも、その国が約束を放棄し、国際的な気候リーダーシップを縮小すれば、地球規模の努力は危機に瀕します。最新の国際エネルギー機関(IEA)のレポートは、この危機感を強調しています。最大の排出国が足踏みすれば、地球の排出軌道は暴走し、パリ協定の目標は到底達成できなくなる恐れがあります。想像してみてください。広大なオーストラリアの荒野における山火事の激化、南の沿岸都市を呑み込むような海面上昇、酷暑による熱波の拡大。これらは遠い未来の話ではなく、すでに目前に迫った危機なのです。
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